2011年9月30日金曜日

日之影の備蓄古銭

       9月25日、日之影の愛妻の親戚の家に栗拾いに行った時、古銭の
       話がでたら、”うちにもいっぱいあるよ”
        見せてもらったら、麻袋に大量の古銭が入れてありました。

       馬小屋の屋根裏から最近見つけたんだそうです。
       ちょっと無理言って、借りてゆっくり見せてもらうことにしました。


        全部緡銭(さしぜに)状態でしたが、真ん中の少ない緡銭は、ばらして
        使われた後の残りでしょうか。

           真ん中の小さい緡銭: 530g   186枚
           真ん中から2番目  : 2650g 
           3番目         : 2970g
           4番目         : 3170g

         緡銭は、普通短陌(たんぱく)という97枚を1単位とするものが多く、
        それを10個つなげたものが一貫文という単位だったようです。

        見つけられた出土銭?(備蓄銭)と言われるものは、普通大量に
        (数千から数万枚)見つかるものらしいですが、これは重さと枚数
        から単純計算しておおよそ3270枚あると推察されました。

         この緡銭を、1枚1枚見てみると、ほとんどが割と綺麗な寛永通寶
         で、粗悪な銭はほとんど混じっていませんでした。
          撰銭(えりぜに)を受けて、悪銭は排除されていたものと思われ
         ます。この緡銭の内訳は、
         
          古寛永・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23枚
          新寛永(裏には文字なし)・・・127枚
           裏に元の文字・・・・・・・・・・・・16枚
           裏に小・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1枚
           裏に文(いわゆる文銭)・・・・・・7枚
           裏に足・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4枚
           裏に長・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1枚
           錆で不明・・・・・・・・・・・・・・・・・4枚
           鉄銭・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1枚
          開元通寶・・・・・・・・・・・・・・・・・・1枚
          聖宋元寶・・・・・・・・・・・・・・・・・・1枚

          この中で最古銭は、開元通寶や聖宋元寶(多分島銭?)
          で、14世紀中ごろ。最新銭は、裏に長の文字のある寛永通寶
          で、1767年以降のもの。
           ということは、この備蓄銭は、18世紀後半あたりに備蓄された
          ものなんでしょうか。まだほんの一部しか見てはいませんが。

           聖宋元寶です。
           本銭(国が発行した公鋳銭)であれば、古代中国の北宋
           1101年に鋳造されたものなんですが、模鋳銭の特徴が
           あるようで、いわゆる島銭(14世紀、中世日本の民間鋳造銭
           で、唐銭や宋銭をモデルにしている。)だろうと思います。

            開元通寶です。
            これも本銭であれば621年、唐の高祖が鋳造し280年余
            造り続けたものでしょうが、これも多分島銭と思われます。
            状態は非常に良いもののようです。
             現存する数も多く、唐の国内でも私鋳銭が多いらしく、
            本銭かどうかの判断は難しいらしいです。

          参考資料
            貨幣考古学序説  慶應義塾大学出版会 2009年 
            中世出土銭の分類図版 高志書院 2002年
            日本貨幣カタログ 2011  日本貨幣商協同組合

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